設立趣旨書

これまでの日本の経済的発展は科学技術の進歩によるところが大きい。また、現在、我々が享受している日常生活の豊かさも科学技術の発展の賜物である。

ところが、現代の日本社会においては、児童・生徒・学生の理系離れが進んでいるといわれている。また、理系科目に対して優れた才能を持つ児童・生徒・学生に対しても、その素質を十分に伸ばす教育がなされているとは考えがたい。この状況から、日本の科学の将来に対して不安を感じることを禁じえない。

これらの状況を鑑み、現状学校教育を受けている児童・生徒・学生の中で、科学に対して強い興味を持つものや、 優れた素質を持つものに対して、学校教育の枠を超え、科学研究の一端に直接触れるような機会を設けることは、 その才能を伸ばし、将来の日本の科学を担う人材を育成することとなる。このことが、日本の科学の振興に大きく役立つことは明らかである。また、それに加えて、広く市民に対して、科学に対しての認識を深めるための啓発活動を実施することも、 同じく、日本の科学の振興に必ずや寄与するものと考える。

この目標の達成のために、これまで、広中平祐博士が理事長である財団法人数理科学振興会は、 毎年、「数理の翼セミナー」を実施してきており、その回数は20回を超えるまでになった。また、その参加者の総計も1,000名を超え、科学のさまざまな分野で活躍している。

よってここに我々は、その「数理の翼セミナー」の参加者を中心として有志を募り「特定非営利活動法人 数理の翼」を設立し、 それぞれ自分が属する分野の知識、知見を総合し社会に貢献しようとするものである。その活動の目的は、科学に対して興味を持つ児童・生徒・学生に対して、次世代を担う人材としてその育成を行うこと、 および、それに関連して、広く不特定多数の市民・団体等に対して科学に関する提言や啓発活動を行い、 もって、社会教育、子どもの健全育成などの公益の増進に寄与することである。特に、財団法人数理科学振興会の意志を引き継ぎ、「数理の翼セミナー」を継続的に実施していくことは、 そのもっとも大きな目的の一つである。

平成 13 年 5 月 13 日
特定非営利活動法人 数理の翼
設立代表者