プログラム紹介

講義

加藤 文元 先生 東京工業大学 理学院 数学系 教授/代数幾何学・数論幾何学

方程式の見えない対称性 --- ガロア理論への第一歩

現代数学への入り口はたくさんありますが、その重要な一つがガロア理論です。方程式の解となる無理数を書くためには、どのくらい難しい操作が必要か。例えば、2次方程式の解のように、べき根を使って書ける数はどんな数なのか。そもそもべき根を使って書けない場合なんてあるのだろうか。ガロア理論はこのような問題に対して鮮やかな解答を与えます。そしてこのような代数方程式特有の問題のみならず、現在数学の隅々に至る問題の背景に、ガロア理論は重要な示唆を与えます。現代数学の大部分は「ガロア理論的」考え方でできていると言っても過言ではありません。しかし、ガロア理論はとても難しく、なかなか奥深い理論です。これを短時間で完全に理解することは容易ではありませんし、とても難しいでしょう。ですが、これがどのような理論なのかということについて初等的なアプローチをすることはできると思います。ガロア理論は何を目指す理論なのか。そしてガロア理論は代数方程式の解に対して、どのような視点を採用するのか。その視点からどのような数学の視座が生まれるのか。このような概観的アプローチを通して、ガロア理論の基本的内容に、そしてそれが探求する方程式の秘密に接近していくことを目標とします。

清 史弘 先生 数学教育研究所代表取締役

活きる数学 ー未来の選択のためにー

数学はいろいろな興味あるいは目的が動機で探究され続けています。今回は「結果が興味深い」かつ先々の行動計画を立てる上で「役に立つ」という視点から「期待値」を中心にその理論と実生活への応用を講義します。期待値を理解するための道具を理解してもらい, あまり知られていない有用な結果を提示します。期待値以外の話題にも触れながら, 参加者の今後の学習および研究姿勢にも役立つように進めたいと考え ています。予備知識としては, 高校数学の数学Aの「場合の数と確率」および数学Bの「数列」の和の知識を必要とします。

渕野 昌 先生 神戸大学大学院システム情報学研究科情報科学専攻 教授/数理論理学・集合論

『「ほとんどすべて」は <<ほとんどすべて>> か?』

この講演では,積分論的に無視できる実数の集合と考えられるゼロ集合 (null-sets) と,位相空間論的に無視できる実数の集合であると考えられる痩集合 (meager sets) の概念を導入して,それらの基本的な性質を証明します.あるゼロ集合の実数の全体での補集合と,ある痩集合の実数の全体での補集合は,それぞれ,積分論的または位相空間論的に「ほとんどすべて」の実数と解釈できるわけですが,これらは全く異なる概念です:実際,実数の全体は,あるゼロ集合と痩集合の和集合としてあらわせることが知られているのですが,このことは,実数の全体がこれらの二つの異なる意味の「ほとんどすべて」の集合に分割できることを意味してもいます.この分割定理は,講演で証明しようと思っている最終目標の一つでもあります.最後に,ゼロ集合と痩集合に関連する最近の結果についても少し触れる予定です.

講義体験企画

講義体験企画では参加者皆さんがそれぞれ希望した分野について5グループに別れてもらいます。各グループでは班長さんの講義を9~10時間ほど受けてもらい、3日目には各グループが学んだことについて他のグループに対して発表してもらいます。

スタッフ企画

セミナースタッフによる独自企画です。いくつかのグループに分かれてもらい、そのグループで勝敗を競います。男女、学年、勉強のでき、そんなものは関係ありません。グループでの新しい発想を求めます!みなさんが頭を使って、楽しめて、最後に納得できるものを、現在スタッフで練り上げているところです。乞うご期待!!

夜ゼミ

夕食後に「夜ゼミ」という形で自由に交流する時間が設けられます。講師の先生方や大学生・大学院生を囲んで様々な議論をしたり、高校生同士がお互いに教えあったりできる場です。

参加者発表

参加者のなかで希望した数名が興味のあるテーマについて発表します。ひとりあたり、だいたい5~10 分の時間をとる予定です。テーマは数理科学に関することでも、まったく関係のない趣味に関してでもなんでもOK です。とてもよい機会となりますので、皆さんもぜひセミナーで参加者発表をしてみませんか?

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